連載小説『月の裏側』|ニナのフラッグシップコンテンツ
満月と新月の夜に更新予定。
自己規律の強い40歳の既婚女性が、ある時、夫ではない男に恋愛感情を持ち始める。
動揺する中、様々な価値観を持つ人々との出会いを通じて、「オンナ」という生き物に還っていくさまを描く。
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月の裏側 – 第22夜 - 半裸の林檎と濡れた髪
前回のあらすじ香子の父 幹雄の葬儀で、香子は荼毘にふされた父の亡骸を複雑な想いで見ていた。父のために生涯を捧げた母のすっかり痩せこけた姿を、未来の自分の姿として重ね合わせると俄かな恐ろしさを感じた。母と遺影を持つ夫である梶の間に立ち、己の... -
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月の裏側 – 第21夜 - 骨と未亡人
前回のあらすじ香子はパーソナルジムで自分の体重と同じくらいのバーベルを持ち、危なげながらスクワットをしていた。力の限界に達した香子に対して、トレーナーらしき男が香子の身体をまさぐり愉悦に浸る。27歳のその男との出会いは、父が死んだ年に、母... -
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月の裏側 – 第20夜 - バーベルとシルクの肌着
前回のあらすじBACKSIDE BARの夜から3日後の月曜日。由羅と成美はメールでやり取りしていた。その内容によると、梶の行動によって大きく動揺した由羅は、子供の発熱を理由に突然帰宅したようだ。しかしそれは、その場に居た堪れず立ち去るための口実だった... -
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月の裏側 – 第19夜 - 美しさと正しさ
前回のあらすじ総務部時代の後輩である高橋を珍しく昼休憩に誘う由羅。3日前のBACKSIDE BARでの出来事によって梶のことが頭から離れないため、少しでも以前の調子を取り戻したい一心だった。休憩時の会話から、20代の高橋と同世代の梶や成美さえも自分と... -
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月の裏側 – 第18夜 - 不健康な妄想とサラダボウル
前回のあらすじ裕福な家庭に生まれた謎の女、香子。その名は「こうこ」と読むが、父からはココ・シャネルから引用された「ココ」という愛称で呼ばれていた。16歳のある日、父からの紹介で2つ年上の男子美大受験生のために全裸のデッサンモデルを務めると、... -
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月の裏側 – 第17夜 – ココとカオルコ
前回のあらすじ梶の思わせぶりな態度や過去の記憶を想起し、動揺しながらも甘美な感覚に酔いしれる由羅。梶と成美が楽しげに笑い合う姿を見て、ついに2人の仲を問い正すが、梶から結婚にまつわる想念を指摘され絶句してしまう。そんな由羅に対して梶はシガ... -
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月の裏側 – 第16夜 – 業務命令、再び
前回のあらすじ梶が寄越してくれたシガールを開封する過程においても、由羅は梶や成美に対する嫌悪感や抵抗感に苛まれていた。しかし話の流れでホットウィスキーを飲むことになると、ようやく張り詰めた気持ちが徐々に解れていく。そんな折、成美がなぜ由... -
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月の裏側 – 第15夜 – シガールとホットウィスキー
前回のあらすじ梶が既婚者であることや成美との関係性に大いに動揺する由羅。レコードが終わり静まり返ったBACKSIDE BARの中で、いかに異動発令を発端に感情を揺さぶられているかを自覚して微かな恐怖を覚えた。これまでいかなる物事も論理的に捉え、理性... -
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月の裏側 – 第14夜 – 一目惚れの女とランデブー
前回のあらすじBACKSIDE BARに入店するやいなや、梶と成美が抱擁しキスをする場面に遭遇する由羅。二人が恋仲ならば、なぜ成美は自分と梶がセックスしたかと聞くのか。店内に流れるジャズの音も聞こえぬほどに混乱する。しかし成美に促されカウンター席に... -
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月の裏側 – 第13夜 – モーセとローストビーフ
前回のあらすじ成美がいるバーへ向かうため、東京・南青山の街をヨックモックの紙袋を腕にぶら下げながら梶と歩く由羅。梶の自由な雰囲気と自分の不自由さとを対比すると、二人の間に流れる見えない川のような存在を思う。根津美術館やBlue Note Tokyo の... -
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月の裏側 – 第12夜 – BACKSIDE BARと小さなドラゴン
前回のあらすじ森山成美に会うため、東京・南青山のBACKSIDE BARに行くことを決意した由羅は、表参道駅にほど近い場所で梶と偶然出くわす。由羅もバーに向かう途中だということがわかると、梶は一緒に行くことを提案した。梶にも会えることを密かに願って... -
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月の裏側 – 第11夜 – 南青山と過去の記憶
前回までのあらすじ森山成美に会うため、東京・南青山のBACKSIDE BARに行くことを決意し、地下鉄に乗り込む由羅。梶も来るかもしれないという成美からのメッセージに、由羅の心は密かに沸き立っていた。バーに向かう前に夕食を摂ろうと表参道駅にほど近い...