ひきたつ音と鎌倉の小さなホテル

美術館や図書館のような静かな場所が好きだ。

静かな場所は、音が引き立つから。

ひきたつ音と対峙すると、己の魂と繋がれるから。

 

 

去る6月21日、夏至の日。
私は自分の魂と繋がる場所がどうしても必要だった。

source| hotel aiaoi

神奈川県鎌倉市の名物、湘南の海を一望できる江ノ電。
言わずと知れた鎌倉大仏が鎮座する高徳院の最寄り駅から歩くことわずか3分の場所に、それはあった。

hotel aiaoi |ホテル アイアオイ
素敵な夫婦が営む客室6室のみの小さなホテルだ。

数年前にとある記事で知り、とても興味を持った。

なぜって、
宿泊に際する決まり事が他には見ないものだったからだ。

かいつまむとこのような感じ。

・部屋での食事はコンビニ弁当やファーストフードを控えること
・香水を控えること
・1組最大2名までの宿泊であること
・未就学児の宿泊は不可であること
・学生と20歳未満の宿泊は原則不可であること

ふむ、なるほど、ずいぶんと気高いではないか…

オーナー夫婦の想いが凛と立つ文章と美しい写真が整然と並ぶホームページを眺めながら、宿泊客を自ら選ぶ潔さに感心した。

だが一方では恨めしかった。ついつい他者に迎合してしまう己の姿と対比して情けなく感じたからだ。

第一印象は複雑な気持ちが入り混じったものだった。

しかしある時、いそいそと宿泊予約を取る私がいた。およそ3年半前のことだ。

今思えば、その時も自分の魂と繋がる場所を求めていたのかもしれない。
ところが結果的には家族の事情でキャンセルを余儀なくされた。

そんな経緯の末に念願叶って宿泊できたのが、先月の夏至のことだった。

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